事件2
睡眠剤を増量した翌朝、特に寝起きは問題なかった。いつものように出勤準備をしていたが、朝のサプリメントの準備あたりが明らかに顔つきが変わってきた。今思えば、この時出勤を見合わせればよかったのだが、その時は会社に着けば、いつもの旦那に戻るだろうと思っていた。マンションから会社までは徒歩5分もかからない。いつものように支店の扉を開け、挨拶をして着席をした。
私が自分のPCを立ち上げ始業準備をしていると、隣に座る旦那が机を蹴った。
なんと言っているのか分からないが、何か声を荒げて不満を言い出した。
広いフロアには、早朝ということもあり数人しかいなかった。
幸いすぐに上長が駆けつけてくれて、旦那を落ち着かせようと話しかけて下さったが、「はあ?お前誰だよ!?」と制止を振り切って、同じフロアの他部署の方へずんずん歩いていく。
なんとか体を押し当てて支店の扉からエレベーターフロアに出す。
とりあえず空いていた会議室に連れ込んだ。
その後も、なんでこんな目に合わすんだ!誰のせいた!と、声を荒げる。
30分ほどしてもまだまだ収まらない様子だったが、このままここに閉じこもってるわけにもいかない。旦那を連れて帰宅した。
会社を出ても、やってられるか!もういい、帰る!と、マンションを逆方向に歩いていってしまう。
何とか追いついて、とりあえず朝食を餌に「家に帰ろう、ご飯食べよう」と、説得する事30分。
マンションに着いた頃にはクタクタになっていた。
旦那はその後、夜までウトウト寝続けた。
上長、いつも旦那をサポートして下さる事務の方、同僚が心配して連絡を何度もくれた。
私はお世話になっている認知症疾患センターのソーシャルワーカーさんに連絡し、週明け早々に急遽受診の予約を取って頂いた。そして、そう遠くない今後のために、ケアマネジャーの手配や、区の支援センターへの連絡もして頂いた。
夕食を食べる頃には旦那は落ち着きを取り戻していたが、昼間の事は全く覚えていなかった。そして、シャワーをし、またすぐ眠ってしまった。
人事部からは、暴力行為等がないなら、このまま何とか仕事を継続できるよう考えましょうと言われていたが、この件でもう無理かもしれないなとぼんやり考えていた。